今注目を集めている高配当株投資。
中でも米国株はETFが優秀なので、個別株を買い進めなくても事足ります。企業分析もよくわかりませんし。。。
米国高配当株ETFの人気3銘柄「HDV」「VYM」「SPYD」の比較
「モノが違うので優劣はつけられない」というのが結論。
1人1人の投資戦略に合わせて組み合わせるのが最適解です。
本記事の内容
HDV・VYM・SPYDの違い
日米の高配当株投資の注目が集まる中、米国株についてはETFへ、という方は少なくありません。私も同様です。
- 日本株:個別銘柄で独自ポートフォリオ
- 米国株:ETFと投資信託
上記のように買い進めています。
これから投資を始めるという方はETFのティッカーを見ても「ん?これ何だったっけ??」となりがちです。その時点でつまづくのに、比較しようにも中身の事なんてなかなか頭に入りません。笑
ティッカーとは?
米国株式の銘柄名の略称。HDVとかVYMとかSPYDとか。。。
米国のETFを調べると、大体HDV・VYM・SPYDにたどり着きます。
備忘録も兼ねて、できるだけわかりやすく、それぞれ解説・比較をしていきます。
- HDV:iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF
- VYM:バンガード・米国高配当株式ETF
- SPYD:SPDR ポートフォリオ S&P 500 高配当株式ETF
違いの解説の前に、これら3つのETFの共通点をば。
共通点:いずれも米国高配当株式ETF
ここを先に説明しておいた方が良いかなと思いましたので。
運用会社の違い
これら3つのETFは、それぞれ下記の資産運用会社のファンド商品です。
- HDV:ブラックロック
- VYM:バンガード・グループ
- SPYD:ステート・ストリート・グローバル
ブラックロック、バンガード・グループ、ステート・ストリート・グローバルは世界3大資産運用会社。
ブラックロックとバンガードに関しては、それぞれの運用資産残高が東証1部の取扱時価総額を上回っています。1社だけで!
■運用資産残高の比較
- ブラックロック:約737兆円
- バンガード・グループ:約605兆円
- ステート・ストリート・グローバル:約388兆円
- 東証1部:約600兆円
それぞれの資産規模や取扱ETFのコストの低さなどは下記記事でも簡単に解説しています。
つまり、HDV、VYM、SPYDの基本的に運用している会社が違うという事になります。
組み入れ銘柄の違い
それでは、組入銘柄の違いについて見ていきましょう。
それぞれの比較については各銘柄・セクターを紹介した後に後述します。
HDVの組み入れ銘柄とセクター比率
HDVがベンチマークとしているのは「モーニングスター配当フォーカス指数」。概要は以下の通り。
モーニングスター配当フォーカス指数とは?
米国株式市場の中でも、下記2項目が認められた「利回り上位75社の銘柄」で構成されるインデックス。
HDVの組み入れ銘柄は75銘柄。年に4回リバランスを行います。
記事作成時点(2019年10月10日)の組入上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカー | 銘柄名 | セクター | 組入比率 |
T | AT&T | 電気通信サービス | 9.61% |
XOM | エクソンモービル | エネルギー | 9.31% |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | 6.70% |
VZ | ベライゾン | 電気通信サービス | 6.62% |
CVX | シェブロン | エネルギー | 5.71% |
WFC | ウェールズファーゴ | 金融 | 5.49% |
PFE | ファイザー | ヘルスケア | 5.15% |
PG | プロクター&ギャンブル | 生活必需品 | 5.08% |
KO | コカ・コーラ | 生活必需品 | 4.07% |
CSCO | シスコシステムズ | 情報技術 | 3.79% |
HDVのセクター別の組み入れ比率は以下の通りです。
セクター | 組入比率 |
エネルギー | 21.27% |
電気通信サービス | 16.65% |
生活必需品 | 14.59% |
ヘルスケア | 14.25% |
金融 | 10.73% |
資本財・サービス | 6.96% |
公益事業 | 6.72% |
情報技術 | 6.60% |
一般消費財・サービス | 1.76% |
キャッシュ、デリバティブ等 | 0.41% |
HDVはリバランスの際にガッツリ組入銘柄が変わるので、あくまでも参考程度に。
VYMの組み入れ銘柄とセクター比率
VYMがベンチマークとしているのは「FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックス」。概要は以下の通り。
FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスとは?
下記特徴のインデックス。
- 米国の高配当銘柄約400銘柄で構成
- 大型株の中でも、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を重点的に組み入れ
VYMの組み入れ銘柄はおよそ420銘柄。年に1回リバランスを行います。
記事作成時点(2019年10月10日)の組入上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカー | 銘柄名 | セクター | 組入比率 |
JPM | JPモルガン・チェース | 金融 | 3.55% |
JNJ | ジョンソン&ジョンソン | ヘルスケア | 3.42% |
PG | プロクター&ギャンブル | 生活必需品 | 2.98% |
XOM | エクソンモービル | エネルギー | 2.91% |
T | AT&T | 電気通信サービス | 2.58% |
VZ | ベライゾン | 電気通信サービス | 2.41% |
CVX | シェブロン | エネルギー | 2.25% |
MRK | メルク | ヘルスケア | 2.23% |
INTC | インテル | 情報技術 | 2.13% |
KO | コカ・コーラ | 生活必需品 | 2.12% |
VYMのセクター別の組み入れ比率は以下の通りです。
セクター | 組入比率 |
金融 | 18.1% |
生活必需品 | 14.4% |
ヘルスケア | 12.6% |
情報技術 | 10.4% |
一般消費財・サービス | 9.9% |
公益事業 | 9.1% |
エネルギー | 8.6% |
資本財・サービス | 8.3% |
電気通信サービス | 5.1% |
素材 | 3.5% |
SPYDの組み入れ銘柄とセクター比率
SPYDがベンチマークとしているのは「S&P 500 高配当指数」。
S&P 500 高配当指数とは?
S&P500の銘柄の高配当利回り上位80銘柄で構成されるインデックス。
記事作成時点(2019年10月10日)の組入上位10銘柄は以下の通りです。
ティッカー | 銘柄名 | セクター | 組入比率 |
NWL | ニューウェル・ブランズ | 一般消費財・サービス | 1.70% |
CPB | キャンベルスープ | 生活必需品 | 1.51% |
HCP | HCP | 金融 | 1.49% |
O | リアルティ・インカム | 不動産 | 1.47% |
ETR | エンタジー | 公益事業 | 1.47% |
WU | ウェスタンユニオン | 金融 | 1.46% |
T | AT&T | 電気通信サービス | 1.45% |
DLR | デジタル・リアルティ・トラスト | 金融 | 1.45% |
SO | サザン | 公益事業 | 1.45% |
JWN | ノードストローム | 一般消費財・サービス | 1.44% |
SPYDのセクター別の組み入れ比率は以下の通りです。
セクター | 組入比率 |
不動産 | 20.17% |
一般消費財・サービス | 16.24% |
エネルギー | 11.56% |
公益事業 | 11.17% |
生活必需品 | 10.10% |
金融 | 9.20% |
情報技術 | 6.52% |
電気通信サービス | 5.28% |
素材 | 4.69% |
ヘルスケア | 2.74% |
資本財・サービス | 2.33% |
HDV・VYM・SPYDの比較
HDV・VYM・SPYDそれぞれの概要は上記の通り。
続いて、それぞれを比較してみたいと思います。
横並びにすると、違いが見えてきます。
組み入れ銘柄・セクター
それぞれの組み入れ銘柄・セクターは上記で紹介しました。高配当株で構成されているという共通点はあるものの、ベンチマークも違うので中身が大きく異なります。
組み入れ銘柄数
- HDV:75銘柄
- VYM:400銘柄
- SPYD:80銘柄
各ETFの上位10銘柄は以下の通りです。
No. | HDV | VYM | SPYD | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ティッカー | セクター | 組入比率 | ティッカー | セクター | 組入比率 | ティッカー | セクター | 組入比率 | |
1 | T | 通信 | 9.61% | JPM | 金融 | 3.55% | NWL | 一般消費財・サービス | 1.70% |
2 | XOM | エネルギー | 9.31% | JNJ | ヘルスケア | 3.42% | CPB | 生活必需品 | 1.51% |
3 | JNJ | ヘルスケア | 6.70% | PG | 生活必需品 | 2.98% | HCP | 金融 | 1.49% |
4 | VZ | 通信 | 6.62% | XOM | エネルギー | 2.91% | O | 不動産 | 1.47% |
5 | CVX | エネルギー | 5.71% | T | 通信 | 2.58% | ETR | 公益事業 | 1.47% |
6 | WFC | 金融 | 5.49% | VZ | 通信 | 2.41% | WU | 金融 | 1.46% |
7 | PFE | ヘルスケア | 5.15% | CVX | エネルギー | 2.25% | T | 電気通信サービス | 1.45% |
8 | PG | 生活必需品 | 5.08% | MRK | ヘルスケア | 2.23% | DLR | 金融 | 1.45% |
9 | KO | 生活必需品 | 4.07% | INTC | テクノロジー | 2.13% | SO | 公益事業 | 1.45% |
10 | CSCO | 情報技術 | 3.79% | KO | 生活必需品 | 2.12% | JWN | 一般消費財・サービス | 1.44% |
上位銘柄への依存度や構成セクターも3社3様です。それぞれのセクター比率をグラフ化しました。
それぞれの取り扱いセクター比率が全く違う事がわかると思います。
これを見て「よし、SPYDが良いな!」とかいうことではありません。
各自のセクターアセットアロケーションに適した形になるように個別株なども含めて組み合わせる事が重要です。
- 各ETFともに構成銘柄・セクターはまったく異なる
- 1ETFで銘柄分散は効いているように見えるが、セクターの偏りがあるので組み合わせた方が分散が効く
- 各自が考えるセクターアセットアロケーションを実現するために、上手く選ぶことが重要
株価・経費率(コスト)
各ETFの株価についても比較していきましょう。
- 橙:HDV
- 青:VYM
- 赤:SPYD
2019年10月11日時点の各ETFの株価と経費率は以下の通りです。
HDV・VYM・SPYDの株価・経費率(2019.10.11)
- HDV:92.20ドル / 0.08%
- VYM:86.94ドル / 0.06%
- SPYD:36.95ドル / 0.07%
配当金の推移・配当利回り
続いて配当利回りや配当金の推移を比較してみます。
HDV・VYM・SPYDの直近の配当金の推移は以下の通りです。
HDV | VYM | SPYD | |
2017年12月 | 0.77632 | 0.64310 | 0.39898 |
2018年03月 | 0.79862 | 0.60840 | 0.34877 |
2018年06月 | 0.79640 | 0.63020 | 0.37610 |
2018年09月 | 0.79111 | 0.67180 | 0.45071 |
2018年12月 | 0.70881 | 0.73880 | 0.44335 |
2019年03月 | 0.82208 | 0.65160 | 0.33942 |
2019年06月 | 0.75037 | 0.62470 | 0.46196 |
2019年09月 | 0.85738 | 0.78640 | 0.44768 |
下記、それぞれの直近の数値を基にした配当利回りです。
- HDV:3.72%
- VYM:3.62%
- SPYD:4.85%
配当利回りを見ると、SPYDのパフォーマンスが群を抜いています。
HDV・VYM・SPYDの比較まとめ
今注目を集めている米国高配当株ETFの主要3銘柄(HDV・VYM・SPYD)を比較してみました。
中身を見てみると、それぞれ銘柄・セクター・パフォーマンスなどに差があることがわかります。
「配当利回りが一番高いからSPYD!」ということではなく、自身のセクターアセットアロケーションに合わせて組み合わせる事が大事です。
資産の最大化を目指すのであればインデックス投資の方が良いと思いますが、キャッシュフローを求めるのであれば高配当株投資が現状の最適解だと考えています。
その中でも米国株に関しては、今回紹介したETFがパフォーマンス・コストともに秀逸です。
米国高配当株はHDV・VYM・SPYDのみで事足りるな、というのが現状の私の見解です。