個別株ポートフォリオを組む場合やファンド組成比率を確認する場合に、重要な要素のひとつとして「どのくらいセクターが分散されているか」ということが挙げられます。
そして、セクターの分散とともに確認したいのは各セクターの景気影響の受けやすさ。
「景気の影響の受けやすいセクター・銘柄」
→いわゆる「景気敏感株」について
景気敏感株とは?
まずは景気敏感株とは何かという説明から。
名前の通りですが、景気に敏感な株の事を指します。
景気動向によって、業績が大きく変動する銘柄のこと。
「景気循環株」と呼ぶ場合もあります。鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材産業や工作機械などの設備投資関連などの銘柄が該当します。好況時にはモノが売れるため、多くの素材や設備、工場が必要になりますが、不況時には在庫調整で需要が低迷し、生産が落ち込むことなど、景気の波によって受注が大きく左右され、業績に直結する銘柄群のことです。出典:景気敏感株 | 金融・証券用語解説集 | 大和証券
- 景気の動向に左右されやすい業種の銘柄の事
- シクリカル株・景気循環株とも呼ばれる
- 対義関係:ディフェンシブ株
景気敏感株の特徴
景気敏感株は景気に影響を与えるような事柄など、外部環境に大きく影響を受けやすい傾向があります。
- 景気動向に左右されやすい
- 一般的には値動きは不安定傾向
景気敏感セクターは一般的に「攻めの銘柄」と呼ばれます。ボラティリティ(値動きの激しさ)が大きく、下げるときは大きく下げ、上げるときは大きく上げる傾向があります。
参考までに、上記は過去6か月間の日経平均と景気敏感セクターの銘柄の株価チャートです。
比較対象の銘柄<コード>
- 東レ<3402>(繊維製品)
- ホンダ<7267>(輸送用機器)
- 住友電気工業<5802>(非鉄金属)
- AGC<5201>(ガラス・土石製品)
景気敏感株が赤丸をつけた部分を見てみてください。
日経平均が大きく変動したタイミングで景気敏感株はさらに変動している事がよくわかります。
景気敏感株のセクター・主要銘柄
景気敏感株のセクター(業種)は素材産業や輸出・加工業などが挙げられます。
■景気敏感株のセクター・主要銘柄
- 鉄鋼:日本製鉄、ジェイエフイーHLDG、日立金属
- 非鉄金属:住友電気工業、住友金属鉱山、三菱マテリアル
- 金属製品:LIXILグループ、SUMCO、リンナイ
- 鉱業:国際石油開発帝石、石油資源開発、K&Oエナジーグループ
- 化学:信越化学工業、花王、資生堂
- 繊維製品:東レ、ゴールドウィン、帝人
- パルプ・紙:王子HLDG、大王製紙、日本製紙
- ガラス・土石製品:AGC、TOTO、日本硝子
- 海運業:商船三井、日本郵船、川崎汽船
- 空運業:ANA HLDG、日本航空
- 電気機器:ソニー、キーエンス、日本電産
- 精密機器:HOYA、テルモ、オリンパス
- 輸送用機器:トヨタ自動車、ホンダ、デンソー
- ゴム製品:ブリヂストン、横浜ゴム、住友ゴム工業
景気敏感要素を戦略に組み入れる
景気敏感セクターと景気敏感株について解説しました。
各々の投資戦略によって、これらの要素をどう活かすかが変わります。
私は配当金重視、基本売りはなくホールドし続ける戦略です。高配当株を持ち続ける戦略です。
基本的に「売り」の概念がないので、景気敏感銘柄への考えは以下のように組み入れています。
- ポートフォリオの景気敏感銘柄の比率
- 買い時タイミング
比率がどれくらいが良いかというのはわかりませんが、景気敏感銘柄に偏っていないかはチェックしています。
また、景気敏感銘柄は業績が堅調にも関わらず、景気後退の懸念や影響を受けて、売り傾向から株価を落としている状態になっているものあります。
これらの銘柄は買い時と判断します。
正直わたしは相場を読むことはできないし、トレード能力は皆無。出口戦略はないので、配当利回りの良い銘柄をいかにお得に買えるかという事しか基本考えていません。
長期ホールド視点なので、セクターの偏り・景気敏感度の偏りというのは、ポートフォリオの構成を考えるうえで分散必須。
米国ETFに関しても、ファンド組入銘柄を見てセクターが分散されているかというのは、形だけでもチェックしています。
- 自動車・素材・設備・運輸関連セクターは景気敏感業種
- 景気敏感株は景気の動向に左右されやすい
- 業績が堅調なら後退景気の際にお得に買えるかも?
- ポートフォリオ内の景気敏感セクター比率は要考慮(戦略にもよる)
- 投信・ETFを選ぶ時も組入銘柄のセクターは確認しておいて損はなし