節約

損?得?国民年金の金額。いくら払って、いくらもらえるの?

年金不足問題が世の中をつつき回しているこのご時世。

年金について改めて考える方も少なくないと思います。

「老後のお金がない!」

と騒ぐ前に

「いくらお金をもらえて、いくらお金が必要か」

を考える事が重要です。

この記事では国民年金について「保険料はいくら払うのか」「支給額はいくらなのか」を簡単に解説します。

また、「国民年金は損だ!得だ!ぼったくりだ!」と色々な意見が飛び交っているので、IRRという投資指標を用いて、国民年金が「投資商品」としてどの程度のスペックなのか測定します。

  • 国民年金はいくら払っていくらもらうのか
  • 国民年金は損なのか?得なのか?

国民年金の疑問を抱いている方に、少しでも参考になれば幸いです。

国民年金はいくら払って、いくらもらえるの?

2019年度(令和元年度)の金額は下記のとおりです。

  • 国民年金保険料(支払額):年額196,920円(月額16,410円)
  • 国民年金支給額(受取額):年額780,100円(月額65,008円)

つまり、

  1. 20~59歳まで毎年196,920円ずつ支払って
  2. 65歳から死ぬまで毎年780,100円もらう

上記のようになります。

金額の変動 支払額と受取額は毎年微動しています。
国のさじ加減なので、将来どうなっていくかはわかりません。

国民年金保険料(支払い金額)について

前述のとおり、2019年度(令和元年度)の国民年金保険料は年額196,920円(月額16,410円)です。

過去を見ると、支払額は年々微増しています。

来年度(令和2年度)も既に決まっていて月額16,540円とされています。

国民年金保険料(支払額)過去10年の推移国民年金保険料(支払額)過去10年の推移

保険料の計算方法

国民年金保険料は下記計算式で算出されます。

国民年金保険料額=保険料水準(※1)×保険料改定率(※2)
※1)保険料水準:17,000円
※2)保険料改定率=前年度の改定率×前年度の名目賃金変動率(※3)
※3)名目賃金変動率=2年前の物価変動率×4年前の実質賃金変動率

大半の方は「なんのこっちゃ」という感じ。笑

経済状況による変動があるので、今後どうなるかはわかりません。

国のさじ加減で根本からひっくり返る可能性もなくはないでしょうし。。。

国民年金の支給額

2019年度(令和元年度)の満額の支給額は年額780,100円、月額65,008円。

40年間の保険料すべてを納付した場合は満額の支給額となります。

終身年金なので、死ぬまで支給されます。支給額も毎年微動しています。

国民年金支給額 過去10年の推移国民年金支給額 過去10年の推移

支給額の計算方法

40年間もれなく納付した場合は満額受給できますが、未納期間がある場合は減額となります。支給額は次のように計算されます。

年間支給額=その年度の満額金額×保険料納付月数÷480

国民年金は損?得?

すべての国民に加入を義務付けられている国民年金。

損か得かを議論するのは野暮ですが、保険としてどのような投資効果があるのか理解しておきましょう。

年金不足問題が取り沙汰されている世の中、ひとりひとりが把握することが大切です。

IRRで投資商品としての国民年金を分析

投資の判断でよく使われるIRRという指標があります。

内部収益率といって、あらゆる投資商品の収益率を比較できる概念。利回りのようなものです。

そんなIRRを用いて国民年金が損なのか得なのかを測定しました。

■国民年金の節税効果を加味

国民年金の支払いは所得税控除の対象。節税効果があります。
一般的な収入の場合、20%(年間所得330万~695万円)または23%(695万~900万円)の税率で控除が適用されます。

■シミュレーション条件

  • 支払い保険料は令和元年度の月額16,410円で仮定
  • 所得税控除による節税効果を年額39,384円で仮定
  • 支給額は令和元年度の年額780,100で仮定
  • 20~59歳まで保険料を支払い、65歳から受給開始で測定

以下のような結果になりました。

  • 70歳まで生きると・・・IRR -1.08%
  • 75歳まで生きると・・・IRR 1.00%
  • 80歳まで生きると・・・IRR 2.02%
  • 日本人男性の平均寿命(81.25歳)まで生きると・・・IRR 2.17%
  • 85歳まで生きると・・・IRR 2.63%
  • 日本人女性の平均寿命(87.32歳)まで生きると・・・IRR 2.81%
  • 90歳まで生きると・・・IRR 3.03%
  • 100歳まで生きると・・・IRR 3.50%

国民年金は終身年金なので、損益分岐となる73歳を超えて以降は長生きするだけ受給額が増えてIRRは高くなります。
(72歳:-0.03% / 73歳:0.36%)

平均寿命まで受給してIRRが2.5%そこそこという結果になるのは意外でした。

強制加入により損を強いられるものという偏見もあったので。。。

まとめ

国民年金の金額については次のとおりです。(令和元年度の金額)

  • 保険料(支払額):年額196,920円(月額16,410円)
  • 支給額(受取額):年額780,100円(月額65,008円)※満額時

保険料、支給額は毎年微動することも押さえておきましょう。

また、国民年金が損なのか、得なのかという疑問については投資指標IRRを用いて測定しました。

  • 72歳までに死亡した場合:損
  • 73歳以降まで生きた場合:得

日本人の平均寿命(男性81歳/女性87歳)を考えると、多くの方がお得になる投資商品と判断することができます。

そして、今後平均寿命はまだまだ上がっていくでしょう。

そういった背景からも国民年金はもれなく支払い、満額受給できる状態にしておいた方が良策です。

どれだけもらえるか理解した状態で保険料を支払う方が精神衛生上も良いでしょうし。

高齢化が進み、自分が何歳まで生きてしまうのかサッパリ予想のつかないこのご時世。

安心感を生むのは「どれだけの資産をつくっておけるか」ではなく「どれだけの『終身じぶん年金』の仕組みをつくっておけるか」です。

自分や家族の老後の不安をなくせるよう、しっかりお金について学ぶ事が大事です。

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