株式銘柄を選ぶにあたってセクター(業種)の概念は必要不可欠な要素です。
リスクをならすために50銘柄に分散投資をしたつもりでも、全銘柄が1つのセクターに偏っていれば全く分散が効いていない状態になってしまいます。
個別銘柄でポートフォリオを組む際はもちろん、ファンドに投資する際も構成銘柄のセクター比率がどのようになっているかをしっかり意識することが重要です。
株式投資におけるセクター分類
株式におけるセクターとは?
セクターとは、主に株式相場や株式市場を分析する際、便宜上区分するグループのことです。 セクターは業種や発行株数、株価といったグループだけでなく、技術や開発といったテーマごとに分ける場合もあります。
出典:セクター 初めてでもわかりやすい用語集 SMBC日興証券
本来セクターというのは業種別だけではなく、発行件数や株価、技術や開発といった区分でもグルーピングされます。
とはいえ、「セクター = 業種」という使い方が多く、私もセクターといえば業種と捉えて考えています。
株式のセクター(業種)分類
セクター(業種)の分類方法の中から代表的なものを3つ紹介します。
東証33業種
東証が設定した33業種の分類です。
ネット証券の検索ページやYahoo!ファイナンスのページなど、国内の関連サービスはこの33業種で分類されることが多いです。
水産・農林業 | 鉱業 |
建設業 | 食料品 |
繊維製品 | パルプ・紙 |
化学 | 医薬品 |
石油・石炭製品 | ゴム製品 |
ガラス・土石製品 | 鉄鋼 |
非鉄金属 | 金属製品 |
機械 | 電気機器 |
輸送用機器 | 精密機器 |
その他製品 | 電気・ガス業 |
陸運業 | 海運業 |
空運業 | 倉庫・運輸関連業 |
情報・通信業 | 卸売業 |
小売業 | 銀行業 |
証券、商品先物取引業 | 保険業 |
その他金融業 | 不動産業 |
サービス業 |
TOPIX-17
33種類というのは数も多く、馴染みが薄い業種名もあります。そこで、もう少しわかりやすく構成された分類がTOPIX-17です。
東証33業種を17業種に再構成した分類になります。
■TOPIX-17の名称・構成
左側がTOPIX-17の分類 / 右側が構成される東証33業種
- 食品:水産・農林業、食料品
- エネルギー資源:鉱業、石油・石炭製品
- 建設・資材:建設業、金属製品、ガラス・土石製品
- 素材・科学:繊維製品、パルプ・紙、化学
- 医薬品:医薬品
- 自動車・輸送機:ゴム製品、輸送用機器
- 鉄鋼・非鉄:鉄鋼、非鉄金属
- 機械:機械
- 電機・精密:電気機器、精密機器
- 情報通信・サービスその他:その他製品、情報・通信業、サービス業
- 電気・ガス:電気・ガス業
- 運輸・物流:陸運業、海運業、空運業、倉庫・運輸関連業
- 商社・卸売:卸売業
- 小売:小売業
- 銀行:銀行業
- 金融(除く銀行):証券、商品先物取引業、保険業、その他金融業
- 不動産:不動産業
GICS
セクター分類の指標をもうひとつご紹介します。
世界的な格付機関S&Pと金融グループMSCIが共同で作成した産業分類「GICS」という分類基準があります。
ファンドの組成比率を示す際にも利用されることが多いです。
GICSは大~小分類として、以下のような区分段階があります。
- 10のセクター
- 24の産業グループ
- 67の産業
- 156の産業サブグループ
大区分となる10のセクターは次のとおりです。
- エネルギー
- 素材
- 資本財・サービス
- 一般消費財・サービス
- 生活必需品
- ヘルスケア
- 金融
- 情報技術
- 電気通信サービス
- 公益事業
株式投資をするときはセクターを意識する
個別株のポートフォリオを考えるうえで重要なのは分散させる事です。
ここでいう分散は多くの銘柄を買うという事だけでは足りません。
セクターの分散も意識しましょう。
外部環境の影響でセクターごとに同じような値動きをすることはよくあります。
30銘柄に分散していたとしても、特定銘柄に集中している場合はモロに影響を受けてしまいます。
景気敏感株かどうかというのを考えるうえでも、セクターの分類は覚えておいて損はありません。
リスクを集中させないよう、しっかりと分散投資を心がけましょう。